スポーツニュートリション

中・強度の運動におけるビートルート抽出物での硝酸塩摂取がポジティブな効果を生むことは多くの研究により報告されており、ビートルート抽出物がスポーツや競技の様々なパフォーマンスを向上させることが評価されている。

研究1

健康な非喫煙者9名(平均年齢:30.0±2.3歳)を対象とした無作為化二重盲検クロスオーバー試験では、最大運動時の様々な生理的および生化学的パラメータに対する経口硝酸塩の影響を評価した。この研究では、被験者に硝酸塩(0.1mmol / kg /日)(この量は硝酸塩が豊富なビートルート100-300㎎相当である)またはプラセボ(NaCl)を2日間与えた。

この試験の評価は、2つの別々のエルゴメータでの腕と脚のクランキングを組み合わせた運動で行った。結果は、硝酸塩の補給が酸素消費量の減少をもたらし、疲労までの時間が延長されたことを示した。

強度の高い運動中に体は酸素を消費する能力が最大に達することはよく知られている。しかし食事由来硝酸塩の摂取が運動時間に影響なく酸素消費の最大能力を低下させることが解明された。したがって、疲労までの時間と最大酸素消費量との間に相関が存在すると結論付けられた。これは、強度の高い運動時に大きな活動をする筋肉量に起因する可能性がある(Larsen et al., 2010)。

研究2

食事由来の硝酸塩摂取は、中程度の運動の酸素消費を低下させ、高強度運動耐容能を改善することは理解ができるが、サイクリングのような競技中のパフォーマンスを向上させるかどうかは不明である。

そこで単回の食事由来硝酸塩摂取がサイクリング4、16.1km間の出力パワー、酸素消費およびのパフォーマンスに及ぼす影響を検討した、男性9人における無作為化クロスオーバー試験を紹介する。

馴化後、全サイクリストは4および16.1kmのサイクリングの2.5時間前に、ビートルートジュース500ml(BR;~6.2mmol硝酸塩)またはプラセボ(PL)500mlを摂取した。結果は、BR摂取は4kmおよび16.1kmのサイクリング間に平均出力パワーを有意に増加させた。

さらに、BR摂取により4 kmと16.1 kmのパフォーマンスがそれぞれ2.8%と2.7%向上した。


Adapted from Lansley et al.,
Med Sci Sports Exer. 2011

最後に、ビートルートジュースによる単回の食事由来硝酸塩の摂取は、競技中のパフォーマンスを向上させる可能性があると結論付けられた(Lansley et al., 2011)。

研究3

ビートルートジュースによる単回の硝酸塩摂取は、最大下運動時の肺酸素摂取量を減少させ、高強度運動量の耐容性を向上させることが知られているが、競技のパフォーマンスにおける硝酸塩消化の効果について十分なデータはない。

そこで濃縮したビートルートジュースによる硝酸塩の単回摂取が、タイムトライアルのパフォーマンスを改善するという仮説のもと行われた、訓練を受けた男性サイクリスト12人(平均年齢:31±3歳)の二重盲検反復測定クロスオーバー研究を紹介する。

被験者には、140ml /日の濃縮ビートルートジュース(〜8mmol / day硝酸塩)またはプラセボを6日間提供し、ウォッシュアウト期間を14日間とした。 6日目に、全てのサイクリストに60分の最大下サイクリングを実施し、続いて10kmのタイムトライアルを実施するよう求めた。研究の終わりには、ビートルート抽出物摂取はプラセボと比較して試験のパフォーマンスと出力パワーの両方を改善することが観察された(Cermak et al., 2012)。